「モリゾウさん、めちゃヤバいです」福住仁嶺、F1初走行で富士に刻んだ衝撃
富士スピードウェイに、またひとつ歴史が刻まれた。7月28日、TGRハースF1チームが実施したTPC(旧車テスト)で、福住仁嶺が念願のF1マシン初走行を果たした。午前のセッション途中に坪井翔からステアリングを引き継ぎ、コースイン。慣れ親しんだホームサーキットとはいえ、その瞬間は特別だった。
「モリゾウさん聞こえますか? めちゃヤバいです。めちゃ速いです」
デニムに合う。履くだけで「ちょいワル」Tapoon 無線から飛び出した第一声は、興奮と驚嘆に満ちていた。スーパーフォーミュラなどで培ってきた富士の感覚とはまったく別次元。F1マシンが生み出す圧倒的なダウンフォースと加速性能に、福住は終始圧倒されっぱなしだったという。
「いつもと違う富士」と表現したくなるほど、コースの景色が違って見えたに違いない。鈴鹿や富士を熟知するドライバーだからこそ、その差が如実に感じられたのだろう。F1マシンはコーナリングスピードが段違いで、ブレーキングのタイミングも進入ラインもすべてが新鮮だったに違いない。
この日、福住は午前中にマシンをドライブ。午後も雨の中23周を走破し、終盤にはオーバーランもあったものの、初日としては上々の滑り出しを見せた。タイムは1分18秒080をマーク。数字以上に、彼が得た経験値は計り知れない。
「以前から名前は挙がっていた」と語るのは、加地TGRディレクター。福住のハースF1起用は、決して突然の話ではなかった。本人も「話を聞いた時は泣きそうに」なるほど思い入れの強いオファーだったという。坪井翔もファクトリーでF1の裏側に触れ、データ量の違いに「恐ろしい」「日本の比ではない」と驚愕していただけに、今回のテストは日本人ドライバーにとって大きなステップとなる。
モリゾウさん——トヨタの象徴的存在に向けて放たれた「めちゃヤバい」の一言には、F1の世界に足を踏み入れた若きドライバーの純粋な感動と、ここから這い上がっていく覚悟が詰まっていた。富士の景色は、今日から福住仁嶺にとってまったく違うものになったはずだ。
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